「日本人に先に飲んでほしい」弥栄酒造の想い
弥栄酒造が輸出提案を見送ったのは、日本酒を海外へ広く販売したくないからではありません。「寿」を、日本人が祝いの日に飲む酒として、まず日本に根付かせたいという強い想いを優先したためです。
日本酒は、日本の風土、食文化、暮らしとともに育まれてきました。「寿」という名前もまた、日本人が古くから大切にしてきた「祝い」の言葉です。結婚、還暦、卒業、入学など、人生の節目には人が集い、盃を交わし、「おめでとう」と言葉を贈る日本ならではの文化があります。弥栄酒造が目指すのは、そのような祝いの席で自然と選ばれる酒になることです。

年間一万本限定に込められた意味
「寿」は年間一万本限定で、増産する予定はありません。これは、大量生産よりも、一つひとつを丁寧に醸し、品質と希少性を守ることを選んだ結果です。「どれだけ売れるか」ではなく、「誰に、どのような場面で飲んでいただくか」を重視した酒造りを行っています。

「食べる米」に新しい価値を創造する挑戦
「寿」は酒米だけでなく、普段の食卓で食べられている食用米「にこまる」でも純米大吟醸を醸しています。しかも、精米歩合(玄米を削って残った部分の割合。数値が低いほど米が磨かれている)40%という、食用米をここまで磨いて純米大吟醸として醸す取り組みは全国的にも極めて珍しい挑戦です。
「にこまる」は令和7年産米品質コンクールで特別優秀賞を受賞した食用米であり、弥栄酒造は、本来食卓に並ぶ米に「飲む価値」という新たな価値を与えることに挑んでいます。
日本の田んぼを未来へつなぐ取り組み
日本では、米づくりを続ける農家が年々減少しており、米価や担い手不足など多くの課題を抱えています。弥栄酒造は、酒造りも農業を支える一つの方法になれると考えています。食用米に新しい価値が生まれれば、農家は安心して米を作り続けることができるでしょう。

作り続けられることで、品種改良や環境に配慮した栽培にも挑戦できるようになります。この積み重ねが、日本の食文化そのものを守ることにつながると弥栄酒造は信じています。そのため、「寿」は量を追わず、価値を積み重ねることで、日本の田んぼと祝い文化を未来へつないでいくことを目指しています。
世界で暮らす日本人へ日本の祝い文化を届ける
海外輸出を否定しているわけではありません。弥栄酒造は、世界で暮らす日本人へ、日本の祝い文化を届ける輸出には前向きです。海外で迎える還暦や異国で祝う新年など、海外で暮らしていると日本の祝いの風景が遠くなりがちです。「寿」を開けた瞬間に、故郷や家族、日本の伝統を思い出す一杯となることを願っています。

弥栄酒造が届けたいのは、単なる日本酒ではなく、日本人が受け継いできた祝いの文化そのものです。その文化を必要としてくださる世界中の日本人の皆様へ届けることが、弥栄酒造が大切にしたい輸出のかたちです。
展示会で得た「共感」
三日間で約15,000人が来場した展示会では、多くの来場者から「料理を引き立てる酒」「考え方に共感した」「このブランドをお客様へ伝えたい」といった声が寄せられました。弥栄酒造は、理念を理解できる事業者との対話を最優先し、「どこでも売る」のではなく「ふさわしい場所へ届ける」姿勢が、多くの来場者の印象に残る結果となりました。

弥栄酒造の代表取締役 山田栄治氏は、「海外へと11社ものご提案をいただけたことは、本当にありがたく感じています。しかし、私たちが守りたいものは販売数量ではありません。『寿』という名前に込められた、日本人が祝いの日に盃を交わす文化です。世界へ広げる前に、まず日本で愛される酒になること。そして将来、海外で暮らす日本人の皆様が故郷や家族、日本の伝統を思い出す一杯として『寿』を手に取っていただけるなら、それが私たちにとって理想の輸出です。私たちが届けたいのは、日本酒だけではありません。日本人が大切に受け継いできた『祝いの文化』と共にです」とコメントしています。
会社概要
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会社名: 株式会社弥栄酒造(旧・渡辺酒造株式会社)
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所在地: 〒496-8015 愛知県愛西市草平町道下83
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創業: 慶応元年(1865年)/創業161年
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代表者: 山田 栄治
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事業内容: 酒類の製造並びに販売 純米大吟醸『弥栄の酒 寿』





