政策金利1.25%時代、「黒字でも会社にお金は残るか」――中小企業が今すぐ確認したい3つの数字

現在の中小企業経営には、2つの大きな圧力が同時に迫っています。ひとつは金利、もうひとつはコスト高です。
日本銀行は2026年9月に政策金利を1.25%へ引き上げ、約30年ぶりの水準となりました。金利の上昇は借入企業の返済負担をじわりと増やします。一方、原材料費・人件費・エネルギーの上昇が続くなか、コスト転嫁が進みにくく、転嫁率は直近の調査で54.2%にとどまっています(中小企業庁)。このため、上がったコストの半分弱は価格へ転嫁できず、手元資金を圧迫する状況です。
この2つの圧力が重なると、注目すべきは「損益計算書上の利益」よりも「現金が手元に残るか」という点になります。黒字であっても現金が不足すれば、返済や運転資金の確保に影響します。こうした現実を踏まえ、社長がすぐに確認できる3つの数字を紹介します。
1. お金を残す力:利益は現金化されているか
まず、利益が出た分に対して現預金が増えているかを確認します。増えていない場合は、売掛金や在庫として資金が滞留している可能性があります。特に、コスト高で利幅が薄い今は、月商の何か月分の現預金があるかを見ておくとよいでしょう。1か月分を切っている場合、転嫁できないコストを手元資金で賄っている状態と考えられます。
2. 借りる・返す力:金利上昇時の返済の動き
つぎに、借入残高と年間返済額を把握しているかを確認します。さらに、変動金利の割合や、金利上昇によって返済額がどれくらい増えるかを見ておくとリスクを把握しやすくなります。金利が上がる局面では、これを把握していないこと自体がリスクです。あわせて、必要に応じて追加で借りられる「借入余力」も、平時に確認しておくと安心です。
3. 変化に耐える力:ダブルショックに耐えられるか
最後に、耐性の観点です。売上が2割減少して3か月続いた場合でも会社を維持できるか、突発的な支出に対して月商1〜2か月分の余力があるか、特定の取引先への依存度が高すぎないか――これらが現金の耐性を左右します。金利とコストの同時圧力は、こうした「変化に耐える力」が弱い企業から先に効いてきます。
まず一つ、数字で答える
3つすべてを一度に整える必要はありません。最も自信がない一つを選び、感覚ではなく数字で答えてみてください。それだけで、現状の環境の中で自社がどのくらいの余裕を持つのかの理解が深まります。金利とコストは個社ではコントロールできません。だからこそ、自社の「現在地」を数字で掴むことが、この局面の第一手となります。
【会社概要】
株式会社稲田財務(東京都大田区中馬込3-23-14-109/代表:稲田裕/事業:中小企業向け財務コンサルティング)。本稿の「3つの数字」を含む5つの視点は、決算書不要・約3分・15問で試せる無料Web診断「3分財務チェック」で確認できます。会社詳細:https://inadazaimu.jp/ お問い合わせ:info-ifl@inadazaimu.jp
【出典】
- 政策金利1.25%(2026年9月18日利上げ・約30年ぶり水準/利上げ継続方針):日本銀行 金融政策決定会合(2026年9月)
- 価格転嫁率54.2%(2026年3月時点)/コスト内訳:原材料費55.7%、労務費50.0%、エネルギー48.9%/中小企業庁「価格交渉促進月間(2026年3月)フォローアップ調査」2026年6月公表
出典:政策金利1.25%時代、「黒字でも会社にお金は残るか」—中小企業が今すぐ確認したい3つの数字/株式会社稲田財務/2026年10月15日





