日本で生まれたブドウ品種「マスカット・ベーリーA」は、2027年に誕生100周年を迎えます。この節目を前に、一般社団法人OIV登録品種協議会(代表理事:松尾英理子)は、2026年12月5日(土)に東京・永田町の全国町村会館で「第8回OIV登録品種サミット」を開きます。品種を生み出したワイナリーや、古木を守り続ける醸造家などがそろって登壇し、この品種の価値と今後について語ります。

日本固有品種を多様な立場から考える年に1度の場
OIV登録品種サミットは、OIV(国際ブドウ・ワイン機構)の品種リストに登録された日本固有のブドウ品種を中心に、その価値と未来を考える年に1度のイベントです。生産者、研究者、流通関係者、ワイン愛好家、学生など、さまざまな立場の人が参加します。第8回となる今回は、マスカット・ベーリーAをテーマに、講演とパネルディスカッション、全国のマスカット・ベーリーAワインと日本のチーズのテイスティングが行われます。
マスカット・ベーリーAは、1927年に新潟県上越市の岩の原葡萄園で、創業者の川上善兵衛が生み出した品種です。善兵衛が苗木を全国に配布したことをきっかけに各地へ広がり、2013年にはOIVの品種リストにも登録されました。現在も日本各地で栽培され、多様なワインが造られています。
今回のサミットは、歴史を振り返るだけの場ではありません。この品種がなぜ100年にわたって受け継がれてきたのか、造り手たちが今どのような価値を感じているのか、その価値を次の100年へどうつないでいくのか。この3つの問いを、講演、パネルディスカッション、テイスティングを通して掘り下げます。

品種誕生の地から海外の視点まで、3人の講演
岩の原葡萄園・高岡成介氏が語る100年の歩み
最初に登壇するのは、マスカット・ベーリーA誕生の地である岩の原葡萄園の代表取締役社長、高岡成介氏です。川上善兵衛が日本の気候風土に適したブドウを生み出そうとした理由や、この品種が全国に広がって100年を歩んできた経緯を、品種を生んだワイナリーの立場から紹介します。高岡氏はサントリーでビール・ワイン事業に携わり、2025年から現職を務めています。講演では、日本の食卓とともに歩んできた品種として、マスカット・ベーリーAと日本の食との相性にも触れる予定です。
タケダワイナリー・岸平典子氏が古木と向き合って得たもの
2人目は、山形県上山市で100年以上続くタケダワイナリーの5代目で、代表取締役社長と栽培・醸造責任者を兼ねる岸平典子氏です。同ワイナリーでは、長い年月を経たマスカット・ベーリーAの古木を今も大切に育て、ワインを造り続けています。岸平氏はフランスの醸造学校やボルドー大学醸造研究所で学び、ブルゴーニュやロワールのドメイヌでも研修を重ねてきました。このブドウを守り続けてきた理由、古い樹から感じ取ってきた個性や価値、次の世代に残したいものについて語ります。
岩﨑元気氏が見た、フランスでの反応と造り手としての今
3人目は、フランスでワインを学び、日本ワインをフランスで紹介する「Salon des Vins Japonais」を主宰する岩﨑元気氏です。現在は日本でヴィニュロンとして、ブドウ栽培とワイン造りに携わっています。日本で長く親しまれてきたこの品種をフランスのワイン関係者がどう受け止めたのか。海外で得た反応と、自ら造り手になった現在の視点を重ね合わせ、外から見たからこそ見えてきたマスカット・ベーリーAの価値と可能性を話します。

4人の造り手・関係者によるパネルディスカッションとテイスティング
後半のパネルディスカッションでは、講演した3人に、山梨県勝沼のダイヤモンド酒造の雨宮吉男氏が加わる予定です。雨宮氏は甲州市勝沼町でダイヤモンド酒造を営む3代目で、フランス・ブルゴーニュのCFPPAでブドウ栽培とワイン醸造を学びました。帰国後は勝沼や穂坂の契約農家のブドウと向き合いながら、マスカット・ベーリーAのワイン造りに取り組んでいます。歴史、継承、海外での経験、品質を追求する造り手の視点を持ち寄り、次の100年に何を残し、何を磨き、どう伝えていくのかを、会場の参加者も交えて考えます。進行は、協議会代表理事の松尾英理子氏が務めます。
締めくくりのテイスティングでは、全国各地で造られたマスカット・ベーリーAのワインを飲み比べられます。同じ品種でも、産地や畑、樹齢、栽培方法、醸造の違いによって、さまざまなスタイルが生まれます。さらに、NPO法人チーズプロフェッショナル協会と協力し、年々評価が高まっている日本生まれの「和チーズ」とのペアリングも提案されます。予定として示されたプログラムでは、テイスティングの内容は全国のマスカット・ベーリーAワイン20種以上と、日本の和チーズ10種以上とされています。

開催概要
- 名称:第8回OIV登録品種サミット「マスカット・ベーリーA 100周年へ」
- 日時:2026年12月5日(土)13:00~17:00
- 会場:全国町村会館(東京都千代田区平河町1-11-35、東京メトロ「永田町駅」直結)
- 定員:約100名
- 対象:ワイン業界関係者から一般のワイン愛好家まで
- 参加費:一般 5,500円(税込)、U25学生 3,000円(税込)※20歳以上25歳以下の学生が対象
- チケット:Peatixで販売
- 主催:一般社団法人OIV登録品種協議会
- 協力:MBA1927→、NPO法人チーズプロフェッショナル協会
プログラムは予定として、協議会によるイントロダクション「マスカット・ベーリーA 100周年、その現在地」から始まり、3人の講演、パネルディスカッション「次の100年に、何を残し、何を磨き、どう伝えていくか」、テイスティングの順に進みます。このイベントは、国税庁の「令和8年度酒類業振興支援事業」の一環として実施されます。





