限界集落に新たな息吹!地域一体で取り組む農業再生
鹿児島県姶良市北山地区は、県民の森や烏帽子岳といった豊かな自然に恵まれながらも、人口が約250人まで減少した限界集落(人口減少と高齢化が進み、社会機能の維持が困難になった地域)です。この地域では、担い手の不足、農地の荒廃、若者の流出、地域産業の縮小といった複数の課題が同時に進行していました。
そんな中、地域で唯一のいちご農園が後継者不足により事業継続の危機に直面。この農園を事業承継(後継者がいないなどの理由で事業を継続できなくなった企業や農園の経営を、別の事業者が引き継ぐこと)したのは、1988年創業の地元建設会社、有限会社有村工業です。
有村工業は、鋼構造物の設計・施工で培った技術と現場力を活かし、専務取締役の有村隆志氏が「きたやまいちごテラス」として農園を運営。さらに、地元住民の自治組織である北山校区コミュニティ協議会と連携し、地域活性化を目的とした「KITAYAMAプロジェクト」を立ち上げました。このプロジェクトには、AGRIVERSE(アグリバース)も参画し、コンソーシアム型で事業を推進しています。

AGRIVERSEは、地域資源の付加価値化という視点から、北山産のいちごを活用した加工品開発を提案。商品設計、原価設計、販路開拓、ブランディングといった多角的な面で伴走支援を行い、その第一弾として「北山いちごソルベ」が誕生しました。
地域資源を活かした「北山いちごソルベ」の魅力
「北山いちごソルベ」は、「北山の清らかな水が育てたいちごを、摘みたてのフレッシュなうちに届けたい」という想いから生まれた一品です。姶良市北山の大地でじっくり育てられた、みずみずしく芳醇ないちごの甘みと香りを、素材の力を最大限に引き出す技術でソルベに閉じ込めています。
この「北山いちごソルベ」は、2026年7月、有限会社有村工業から姶良市の米丸まき子市長へ商品開発と地域活性化の取り組みが報告されました。

商品情報
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商品名: 北山いちごソルベ
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容量: 80mlカップ
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原材料: いちご (姶良市北山産)、糖類、水、レモン果汁、イヌリン/安定剤 (増粘多糖類)
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販売場所: ビーラインスポーツパーク姶良(姶良市総合運動公園 体育館入口)ほか
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ふるさと納税: 姶良市ふるさと納税返礼品として申請中
商品紹介や購入に関する詳細はこちらから確認できます。
https://kitayama-project.com/about.php
農福連携で社会参画と価値創造を両立
「北山いちごソルベ」のパッケージを彩る水彩のいちごアートは、AGRIVERSEが連携する就労継続支援B型事業所「イーエヌ水耕栽培」の利用者が制作しました。利用者の方々は、北山いちごの写真や映像、そして実物のいちごを見て、そこから連想されるイメージを自由に描きました。その結果、「摘みたての瑞々しさ」を表現したアートが生まれました。

さらに、商品化の工程では、パッケージへのラベル貼付作業にも利用者の方々が参加。デザインという上流工程から現場の作業まで、立場を超えて関わることで、農福連携(農業と福祉が連携し、障害を持つ方々が農業分野で活躍することで、社会参画を促進し、農業の担い手不足解消にも貢献する取り組み)の新しいかたちを示しています。福祉を単なる支援対象として切り離すのではなく、商品の価値をつくる担い手として地域全体のバリューチェーンに組み込むことで、地方の産業課題と社会参画の機会を同時に解決しようとする設計です。
メタバース・web3で「関係人口」を育み、雇用へ
KITAYAMAプロジェクトは、「人が集まり、仕事が生まれる場所へ」というビジョンを掲げ、以下の3つのステップで地域再生を進めています。
- 人を集める: 農業体験、カフェ茶屋、アウトドアアクティビティ、独自アウトドアブランド開発による来訪者誘致。
- 関係人口を増やす: 北山に関わるファンを育成。メタバース(インターネット上の仮想空間で、利用者がアバターを通じて交流したり、活動したりできるサービス)やweb3(ブロックチェーン技術などを活用した、分散型の次世代インターネット)を活用し、国内外との交流を促進。
- 雇用に繋げる: 地域に仕事を生み出し、若者の流入を促進。地元住民が誇れる地域経済を構築。
「北山いちごソルベ」は、このステップ1とステップ2をつなぐ最初の成果です。

AGRIVERSEは、KITAYAMAプロジェクトにおいて、プロジェクトの全体設計から進行管理、商品開発、行政連携、農福連携の仕組みづくり、そしてメタバース・web3を活用した関係人口(特定の地域に継続的に多様な形で関わる人々)創出に向けたデジタル基盤の企画・開発まで、多岐にわたる役割を担っています。

物理的・地理的な制約を超えて地域と関わる仕組みをつくることで、「訪れる人」から「関わり続ける人」へと関係を育み、最終的な雇用創出につなげることを目指しています。その担い手には、地元住民だけでなく、これまで社会参画の機会が限られてきた方々も含まれるでしょう。AGRIVERSEが目指すのは、制約を超えて誰もが価値創出に関われる地域のかたちです。
地域農業の未来を切り拓く連携モデル
今回の「北山いちごソルベ」の商品開発は、限界集落が抱える課題に対し、地元企業、地域住民組織、そして外部パートナーが連携することで、持続可能な地域農業のモデルを構築する可能性を示しています。生産者や就農者、農業関連事業者にとって、このような伴走型支援パートナーとの連携は、新たな商品開発や販路開拓、さらには地域課題解決への大きなヒントとなるのではないでしょうか。特に、農福連携やメタバース・web3といった新しいアプローチは、今後の地域農業の活性化において重要な鍵を握るかもしれません。






