新しい農業の形!データ駆動型スマート農業の仕組み
この事業は、経済産業省の補助金事業に採択され、ベトナムにおける一次産業の高収益化と、日本企業の海外での事業機会獲得を目標としています。日本の高付加価値生産を実現する農業ソリューションと遠隔指導を組み合わせることで、現地生産者が持続的に高収益を得られる「スマート農業経営モデル」の確立を目指しています。
導入された技術と解決される課題
ディエンビエン省の実証圃場には「スマートグリーンハウス」が建設され、日本品種のフルーツトマト栽培が進められました。このハウスでは、温度や湿度などの環境データがリアルタイムで収集され、ネットチャートが提供するIoT(モノのインターネット)向けマネージド型エッジゲートウェイサービス「P3EG」を通じて、NTTアグリテクノロジーの「遠隔営農支援システム」へと送られます。

Tomofarmがベトナムで展開するスマート農業システムを図解しています。NTT AgriTechnologyの遠隔営農支援システムと連携し、センサーで取得した環境データに基づき温室の自動制御や栽培指導を行うことで、地元生産者のトマト栽培を効率化・高度化する仕組みを解説しています。NAROが指導サポートを提供しています。
NIINUMA TOMOFARMは、このデータと農研機構の知見をもとに、現地生産者へ栽培指導を行います。さらに、遠隔営農支援システムとP3EGを通じて、日本から現地のスマートグリーンハウスの環境制御設定を調整することも可能です。これにより、日本にいる専門家がベトナムの生産現場に対し、栽培状況に応じた適切なアドバイスを遠隔で提供し、ハウスの環境を自動で調整するといった、まるで隣にいるかのようなきめ細やかなサポートが実現しました。
この仕組みにより、専門知識が不足している現地生産者でも、データに基づいた効率的で高品質なフルーツトマト栽培が可能となり、高収益化という課題解決に繋がります。今回、ディエンビエン省での日本品種フルーツトマトの栽培と収穫に成功し、NIINUMA TOMOFARMによる収穫物の買取・販売を通じて、スマート農業経営モデルが具体的に実現されました。
関連情報:
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経済産業省 令和6年度補正グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(小規模実証・FS事業)特設HP: https://gs-hojo-web-fspoc.jp/index.html
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ネットチャート「P3EG」参考: https://www.ncj.co.jp/iot/solution/p3eg.html
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NTTアグリテクノロジー「遠隔営農支援システム」参考: https://www.ntt-agritechnology.com/business/primary/#tab_3
収穫祭で成果を共有、地域ブランド創出へ大きな一歩
2026年7月24日に開催された事業報告会および収穫祭には、ディエンビエン省人民委員会や農業環境局、日本の関係企業・機関など多くの関係者が参加しました。参加者は実際にフルーツトマトが栽培されているスマートグリーンハウスを視察し、事業の成果報告を受けました。

ディエンビエン省で、スマート農業プロジェクトの成果報告会が開催されている様子。参加者がテーブルを囲み、ハイテク温室に関するプレゼンテーションを真剣に聴講している。

ディエンビエン省農業・環境局とニイヌマトモファーム株式会社による、ハイテク温室プロジェクトの成果報告会での集合写真。多くの関係者が会議室でフォーマルな服装で並んでいる。
さらに、販売先のひとつとなるディエンビエンフー空港SHプレミアムラウンジを訪問し、栽培されたフルーツトマトが陳列・提供されている様子を視察し、試食も行われました。この取り組みは単なる栽培実証にとどまらず、「ディエンビエン産フルーツトマト」という地域ブランドの創出に向けた、栽培から収穫、提供、販売までの一連の流れを検証するものでした。

空港内にあるSHプレミアムラウンジの入口と、スマートハウスプロジェクトの広告、そして多くの銀行や通信会社のロゴが並んだ案内板が写っています。ベトナムのディエンビエン空港の様子を捉えた一枚です。

ホテルやレストランのビュッフェラインの様子です。新鮮なフルーツ、サラダ、デザート、ジュースなどが並べられ、モダンな緑色の壁が特徴的な空間で食事が提供されています。
事業報告会では、日越関係者の間で、この事業を「地域ブランド創出」に向けた取り組みとしてさらに発展させていくことが確認されました。ディエンビエン省人民委員会のグエン・ヴァン・ドアット副委員長からは、省として人材育成などの面で協力を進める意向が示され、「高品質な作物の生産は、市民の所得向上だけでなく健康面の向上にもつながる」との期待が寄せられました。また、現地メディアでも本事業が紹介されるなど、大きな反響がありました。
関連情報:
- ディエンビエンフーニュースオンライン「ディエンビエンにおけるスマート農業実証事業の成果」: https://baodienbienphu.vn/tin-bai/kinh-te/ket-qua-trien-khai-du-an-ung-dung-nong-nghiep-thong-minh-tai-dien-bien
今後の展望:持続可能なスマート農業経営モデルを世界へ
今回の事業は、日本品種のフルーツトマトを海外で栽培し、遠隔営農支援と環境制御を組み合わせた農業経営モデルをベトナムで普及展開する、高収益農業化への重要な足がかりとなります。今後、NIINUMA TOMOFARMは、この事業で得られた知見を活かし、フランチャイズ形式での農業事業を展開し、スマート農業経営モデルによる経済社会的課題解決を目指していくとのことです。
スマートグリーンハウスや遠隔監視システムの安定運用には、現地の電力供給の安定性やコストへの対応も重要です。ニイヌマ株式会社は、ベトナムでの太陽光発電・蓄電機材事業の経験を活かし、太陽光発電などを組み合わせた、より安定的なスマート農業経営モデルの構築も検討していくとしています。

「オールジャパン」体制でスマート農業ソリューションを提供し、栽培技術、経営システム、資材、販売などを統合。日本の先進技術と経営モデルを国内外に展開し、データ駆動型栽培を通じて農業経営の改善に貢献する。
今回の事業は経済産業省の補助金を活用したものであり、このようなスマート農業の導入には初期投資がかかる場合もあります。しかし、長期的な視点で見れば、データ駆動型農業による収益性の向上や安定した生産につながる可能性を秘めており、持続可能な農業経営を目指す生産者や農業関連事業者にとって、大きなヒントとなるでしょう。日本で培われたデータ駆動型農業技術とスマート農業経営モデルが、日越、日ASEAN、ひいては世界の一次産業の発展に貢献することが期待されます。




