スマート農業

田植え機ゼロで耕作放棄地1.3haを再生!岡山・misoraがドローン直播で挑む、中山間地域のスマート農業

岡山・西粟倉村から始まる「田植え機ゼロ」の挑戦

岡山県西粟倉村の合同会社misoraが、ドローンを活用したスマート農業で、新たな稲作の形を提案しています。特徴的なのは、田植え機を一切持たずに、16枚もの耕作放棄地(合計1.3ヘクタール)で稲作を再開した点です。これは、中山間地域が抱える農業の課題、特に大型機械の導入が難しい地形や、高齢化による後継者不足といった問題に対する具体的な解決策として注目されています。

ドローンによる農業支援

「昭和の農業」から未来へ、ドローンが拓く新たな道

misoraが「昭和の農業」と呼ぶのは、家族が赤字や長時間労働を背負い、機械が壊れたら続けられなくなるような仕組みです。代表の白籏ちえみ氏は、この負担を次の世代に引き継がせないために、農業そのものではなく、その「仕組み」を変えたいと考えています。

西粟倉村は村土の約95%が森林という中山間地域。平らな土地が少なく、一枚一枚の田んぼは山の斜面を削って作られてきました。そのため、大型トラクターや田植え機がまっすぐ入らないような、小さく不整形な田んぼがほとんどです。こうした場所では、従来の大型機械を前提としたスマート農業は導入が難しいという現実があります。

misoraは、この中山間地域の現実に正面から向き合い、田植え機を持たず、ドローンによる測量と自動航行だけで稲作を実践することで、持続可能な農業モデルを構築しようとしています。

ドローンで「測量」「種まき」「散布」を一本化!

misoraが導入しているのは、産業用ドローン「DJI Matrice 30T」と農業用ドローン「DJI AGRAS T25P」です。

  1. 高精度な測量:まず「Matrice 30T」を使って農地の高精度な測量を行います。この際、「RTK測量」という、衛星測位の誤差を補正して位置を正確に特定する技術が使われます。
  2. 自動航行による直播(ちょくは):次に、測量データを「AGRAS T25P」に取り込み、設定した経路をドローンが完全自動で航行しながら、種もみを田んぼに直接まく「直播(ちょくは)」を行います。
  3. 肥料・農薬散布も自動で:さらに、肥料や農薬の散布も同じくドローンによる自動航行で行われます。

これにより、田植えという工程そのものが不要になり、測量から種まき、散布までの一連の作業をドローン技術一つでつなぐことが可能になります。大型機械の導入や大規模な区画整理が難しい中山間地域の小さく不整形な田んぼでも、このスマート農業は適用できるのです。

自社実践と地域支援で広がるドローンの輪

misoraは、単に農業支援を掲げるだけでなく、自ら1.3ヘクタールの耕作放棄地で稲作を本格化し、鹿による食害なども経験しながら、収穫まで稲を守り育てる仕事を実践しています。人に勧める前に、自分たちで試して効果を確認するという姿勢です。

この技術は、自社の田んぼだけでなく、地域の農家支援にも活かされています。misoraが支援する農家は約80軒にのぼり、2026年度の散布請負面積は延べ250ヘクタールに達する見込みです。その9割以上で、すでに完全自動航行による散布が行われています。「使いこなせるか分からない」という農家の不安を、misoraが自社の米づくりで引き受け、実用性を証明しているのです。

また、建設業を営むパートナー企業、佐藤建設株式会社(岡山県勝田郡勝央町)の農業事業部でも、約0.4ヘクタールの農地再生を支援。直播、肥料散布、除草剤散布、病害虫防除などをドローンで行い、異業種からのスマート農業参入もサポートしています。

新しい農業経営の視点と問い合わせ先

米の販売価格が決まる前に収穫の季節が訪れる農業において、価格決定を待ってから経営を考えるのでは遅いという危機感がmisoraにはあります。家族の労働時間、機械の持ち方、そして誰が田んぼを引き継ぐのか。数字が出る前に、変えられることから変えていく必要性を訴えています。

misoraの自社米は2026年9月中旬に初収穫を迎える予定です。田植え機がなくても米は作れる、後継ぎがいなくても田んぼは残せる――この証明を、misoraはこれからも現場で積み重ねていきます。

もし同じような不安を抱えている岡山県内の生産者の方がいらっしゃいましたら、下記までお問い合わせください。

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