地域農業

文字が浮かぶ伝統野菜「字彫り宿儺かぼちゃ」、飛騨高山の旅館など16施設で展示開始

文字が浮かぶ伝統野菜「字彫り宿儺かぼちゃ」、飛騨高山の旅館など16施設で展示開始

岐阜県高山市丹生川町で受け継がれてきた在来種「宿儺かぼちゃ」に、育つ途中で文字を刻んだ「字彫り宿儺かぼちゃ」が収穫を迎えました。手がけたのは、宿儺かぼちゃ研究会(岐阜県高山市丹生川町、代表:若林定夫)と株式会社ヒダカラ(岐阜県飛騨市、代表:舩坂香菜子)です。2026年7月に贈答品として販売を始めたこのかぼちゃは、9月25日(金)から高山市の旅館・本陣平野屋をはじめとする地域の16施設で展示されています。

「飛騨高山の伝統を繋いでいきたい」「飛騨高山の新たな秋の風物詩を作りたい」という思いが、作り手・売り手・旅館の三者で一致し、今回のお披露目につながりました。10月26日(月)には、本陣平野屋に三者が揃ってお披露目会を開きます。

本陣平野屋 花兆庵 2Fに飾られている様子
本陣平野屋 花兆庵 2Fに飾られている様子

畑で育てながら文字を浮かび上がらせる「字彫り」

字彫りは、収穫前の実の表皮に文字を彫り、そのまま畑で育て続ける技法です。実が傷を修復していく過程で、彫った部分が盛り上がり、文字が浮かび上がります。技法自体は地元で以前から知られていましたが、今年から、希望の文字を入れた贈答品として本格的に販売を始めました。

文字は一つひとつ手作業で刻まれ、世界に一本だけのかぼちゃとして収穫後に届けられます。「祝 還暦」「寿」といった祝いの言葉のほか、名前や記念日、感謝のメッセージなども自由に選ぶことができます。

  • 商品名:字彫り宿儺かぼちゃ
  • 販売価格:16,000〜30,000円(税込、サイズや仕様によって価格が異なる)
  • 受注状況:2027年分の予約受付中
  • 販売者:株式会社ヒダカラ
  • 販売場所:楽天市場「ヒダカラ商店」にて受付
字彫り直後
字彫り直後

本陣平野屋で、料理に使う地元食材を実物でも紹介

本陣平野屋(岐阜県高山市)は、飛騨高山の食材を積極的に取り入れた食事を提供しており、夏の終わりから秋にかけては宿儺かぼちゃを使った料理を出しています。同館では字彫り宿儺かぼちゃを2本購入し、ロビーや食事処に展示しました。調理された宿儺かぼちゃを味わうだけでなく、細長い独特の形や、成長によって盛り上がった文字を間近で見てもらい、飛騨の食材を深く知ってもらうきっかけにする狙いです。

女将の有巣栄里子さんは、夏の終わりから秋にかけて同館の夕食には必ず宿儺かぼちゃが登場すると話します。有巣さん自身はそのほっこりとした甘みが大好きで、約50cmの長細い姿も、初めて見るとまず読めない「宿儺」という字も、お客様との会話のきっかけにぴったりだと感じているといいます。今年からは館の名前を入れたかぼちゃをホテルの入り口と夕食会場の入り口に置き、お客様に手に取って重みを感じてもらったり、記念写真を撮って旅の思い出にしてもらえたら嬉しいとしています。

有巣さんは、宿儺かぼちゃ研究会代表の若林さんとは30年以上の付き合いだといい、「もっと宿儺かぼちゃを広めたい」「後継者不足を解消したい」と語る姿は当時も今もかっこいいと話します。観光旅館として飛騨の食材を使い、購入方法や保存方法までお客様と話すことで、飛騨の野菜を知ってもらいたいという考えです。

字彫り後 文字が浮かびあがってきた様子
字彫り後 文字が浮かびあがってきた様子

高齢化・後継者不足のなか、伝統野菜を秋の風物詩に

宿儺かぼちゃの産地では、生産者の高齢化や後継者不足が進んでいます。こうした状況を受け、宿儺かぼちゃ研究会とヒダカラは、贈答品としての販売に加えて地域の施設を巻き込み、宿儺かぼちゃを知ってもらう機会をつくろうと、字彫り宿儺かぼちゃを商品化しました。秋の飛騨を訪れる人に宿儺かぼちゃを知り、楽しんでもらうことで、生産者が育てる伝統野菜の価値を伝えていくとしています。

出典:株式会社 ヒダカラ

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