東京都のCDRクレジット創出促進事業とは?
この事業は、地球温暖化対策として大気中のCO₂を減らす「CDR」技術を推進し、その効果を「カーボンクレジット」という形で価値化することで、事業者による脱炭素化の取り組みを後押しするものです。カーボンクレジットは、CO₂の排出削減量や吸収量を数値化し、取引可能にしたもので、企業が自社の排出量をオフセット(相殺)するためなどに活用されます。
選定された事業者には、実証事業にかかる経費の一部として上限5,000万円の協定金が支給されるほか、事業プロモーターによる専門的な支援が3年間にわたって提供されます。

選定された事業者と実証事業の概要
サグリ株式会社
「農地の見える化で価値を創造する」をミッションに掲げるサグリ株式会社は、衛星・気象・土壌などのビッグデータとAI解析を組み合わせ、農業のあらゆる要素を定量化し、持続可能な農業システムの実現に取り組んでいます。

実証事業のポイント
-
何が新しい? 衛星データとAIを活用して農地の状態を「見える化」し、土壌中の炭素を増やす新しい農法への転換を推進します。これにより、土壌がCO₂を吸収する能力を高め、カーボンクレジットを創出します。
-
どんな課題を解決する? クレジット創出を通じて地域農業の活性化を図るとともに、都内企業の脱炭素化にも貢献します。生産者にとっては、環境に配慮した農法が新たな収益源となる可能性を秘めています。
この実証は北海道で行われますが、そこで得られた知見は全国の農業に活かされることでしょう。具体的な対象作物や、今後の導入・申込方法については、さらなる情報発信に注目しましょう。
株式会社TBM
株式会社TBMは、「カーボンソリューション」を経営の柱とし、環境配慮型素材「LIMEX」の開発で培った技術を基盤に、カーボンリサイクル素材や建材の開発・製造・販売を行っています。

実証事業のポイント
-
何が新しい? 木質バイオマス発電所の排ガスと、これまで未利用だった焼却灰を組み合わせ、CO₂を炭酸カルシウムとして固定化する「炭酸塩化技術」を実証します。これは、排出されるCO₂を再利用する画期的な技術です。
-
どんな課題を解決する? 発電所からのCO₂排出削減に貢献するだけでなく、未利用資源の有効活用にもつながります。将来的には、固定化された炭酸カルシウムを原料とした建材などの製品開発も期待されており、資源循環型社会の実現に貢献します。
Planet Savers株式会社
Planet Savers株式会社は、「気候変動を食い止め、次世代に美しい地球を残す」をミッションに、東京大学発の先進的なゼオライト技術を基盤としたDAC(Direct Air Capture:大気直接回収)システムの開発・社会実装に取り組んでいます。


実証事業のポイント
-
何が新しい? 独自のゼオライトDACシステムを使って大気中のCO₂を直接回収し、海外での地下貯留・クレジット認証を経て、東京都カーボンクレジットマーケットへの流通可能性を検証します。
-
どんな課題を解決する? 大気中のCO₂を直接回収することで、地球温暖化対策に大きく貢献します。また、回収したCO₂から生まれたクレジットが市場でどのように流通するかを検証することで、DAC技術の社会実装を加速させる狙いがあります。
東京都カーボンクレジットマーケットの活用
この事業で創出されたカーボンクレジットは、東京都独自の取引システム「東京都カーボンクレジットマーケット」での流通も視野に入れています。このマーケットは、国内外のカーボンクレジットを容易に取引できる点が特徴です。


マーケットの主な特徴
-
カーボンクレジットの認証機関ごとに必要な口座開設が不要です。
-
ブロックチェーン技術(データの改ざんを防ぐ技術)の活用により、クレジットをトークン化して取引履歴を暗号化し、不正や改ざんを防止します。
-
トークンは二次流通(システムへの再出品)も可能です。
利用対象者は国内の法人、任意団体で、ウェブサイトから無料で登録・利用できます。詳細はこちらをご覧ください。
まとめ
東京都が推進するCDRクレジット創出促進事業は、最先端の技術と地域資源を組み合わせることで、カーボンクレジット創出という新たな価値を生み出す挑戦です。特にサグリ株式会社の農業分野での取り組みは、生産者の方々が環境保全に貢献しながら新たな収益を得る可能性を示しており、今後の地域農業の活性化に大きく寄与することでしょう。
この事業は令和10年12月まで実証が行われ、令和11年2月頃には最終報告会が開催される予定です。これらの実証から得られる成果が、日本の脱炭素社会の実現、そして持続可能な農業の未来にどのような影響を与えるのか、引き続き注目していきましょう。




