スマート農業

北海道でAI搭載自動収穫ロボットのレンタルが本格開始!労働力不足解消と次世代育成へ

北海道農業の課題とスマート農業の導入

北海道は日本有数の食料供給地域ですが、近年は農業を担う人材の不足が深刻化しています。過去5年間で農業経営体数は16.4%減少し、農業の主要な働き手も19%減っている状況です(※1)。広大な農地を少人数で管理する構造的な課題があり、特にキュウリなどの収穫作業は毎日手作業で行うため、労働力不足が産地維持の大きな障壁となっています。

こうした課題に対し、AGRISTは2025年秋にJAきたそらち管内で自動収穫ロボットの実証実験を行い、その有効性を確認しました。この成功を受け、2026年3月には北海道深川市、株式会社HPRS、きたそらち農業協同組合との間で「次世代農業の実現と地域課題解消に関する包括連携協定」を締結。今回のロボットレンタルは、この協定に基づく具体的な社会実装の第一歩となります。

※1 出典:北海道農政部「北海道農業・農村をめぐる情勢」(令和7年1月)https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/1/3/1/4/9/5/9/1/_/2025final_2summary.pdf

北海道3拠点でのレンタル実施概要

労働力不足の解消に向けて、AI搭載キュウリ自動収穫ロボットのレンタルが以下の3拠点で実施されています。

  • JA新冠(ピーマン): 6月29日〜30日(勉強会のための一日レンタル)

  • ホクレン農業協同組合連合会(きゅうり): 7月1日〜8月31日

  • JAきたそらち(きゅうり): 7月2日〜10月31日

広大な温室で水耕栽培されているきゅうりの列と、中央に配置された自動化された栽培管理ロボット

AI搭載自動収穫ロボットの特長と導入メリット

この自動収穫ロボットは、人の手による作業を代替することで、農業の省力化(作業の負担を減らすこと)と省人化(必要な人数を減らすこと)を推進します。

ロボットの主な特長

  • 自動走行・識別機能: 畝(うね)間のレール上を自律的に移動し、AI(人工知能)が収穫に適したキュウリやピーマンのサイズを判断します。

  • 安全性に配慮した設計: 独自に開発された収穫ハンドには、誤って収穫してしまうことを防ぐセンサーとカメラが搭載されています。これにより、葉や蔓(つる)を傷つけることなく、作物や周囲の環境に配慮しながら収穫作業を行います。

  • 対応作物: キュウリとピーマンの収穫が可能です。

ロボットが収穫作業を担うことで、作業者はより高度な栽培管理や他の作業に集中できるようになり、全体の生産効率向上に繋がることが期待されます。

次世代の担い手を育む「遠隔操作イベント」

包括連携協定のもう一つの柱である「次世代の担い手育成」として、深川市内の小学校で「次世代型食農教育イベント」が開催されます。

  • 日時: 2026年9月24日(木)、25日(金)

  • 場所: 北海道深川市内の小学校

  • 内容: 児童たちが教室の端末からインターネットを通じて、遠隔地の農場にいる収穫ロボットを操作し、リアルタイムでキュウリを収穫する体験ができます。

  • 目的: 最先端のスマート農業技術に触れることで、子どもたちが一次産業(農業など)への興味を深め、将来のキャリア形成や地域との関わり方のきっかけを提供することを目指します。

教室で女性講師が児童にタブレットを使い指導、大型モニターに植物画像

小学生が笑顔でキュウリを掲げている

女性が子供たちにタブレットを使って説明している様子。背景のスクリーンにはAGRIST株式会社の農業技術に関する映像

今後の展望とレンタルによる活用イメージ

AGRISTは、北海道の多様な気候や農業経営規模、栽培環境に合わせた収穫ロボットの活用方法を提案していく方針です。高額な収穫ロボットを個々の農家が購入するのではなく、複数の農家や法人が「必要な時だけ共同で利用」するシェアリングサービス(共同利用レンタル)の普及を推進し、導入のハードルを下げて効率的な稼働を目指します。

レンタルサービスを利用することで、初期投資を抑えつつ、繁忙期の労働力不足を解消したり、新たな栽培方法を試したりすることが可能になります。深川市やJAきたそらちをはじめとする地域の関係機関と協力し、スマート農業による持続可能で魅力的な「次世代農業エコシステム」の構築を進めていくとのことです。

参考情報